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  • 執筆者の写真GXコンシェルジュ事務局

脱炭素をサプライチェーンで考える!「GXマネジメントの戦略・実践セミナー」の概要と要点 【第1回基礎編】

更新日:2022年10月14日




カーボンニュートラルへ向けた動きがグローバルで加速し、各企業は温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出量の開示と着実な削減が求められています。この課題はなにも大企業に限ったものではなく、サプライチェーンを通して中小企業にも広がりを見せています。


そうした中で、住友商事株式会社、アビームコンサルティング株式会社、SCSK株式会社は、「脱炭素をサプライチェーンで考える!GXマネジメントの戦略・実践セミナー」を開催しました。「基礎編」、「排出量管理編」、「戦略・実践編」の3回にわたって開催された本セミナーの概要と要点をレポートします。


【第1回基礎編】カーボンニュートラル市場動向と需要家企業が実施すべきGXマネジメント


<講演者>

住友商事株式会社

デジタルソリューション事業第二部 部長代理

寺﨑暁氏 



カーボンニュートラルは課題か?それとも変革への機会か?


昨今、さまざまな場面で「カーボンニュートラル」というキーワードを見聞きしますが、これに対してまず考えておくべきことがあります。住友商事の寺﨑暁氏は、「これを課題として捉えるか、それとも変革への機会として捉えるかによって、その後のチャレンジは大きく変わってきます」と話します。

仮に課題として捉えた場合、その取り組みは企業にとって重荷でしかなくカーボンニュートラルの本質を見誤ってしまうおそれがあります。そうではなく、各企業がカーボンニュートラルを新たなチャンスと捉えてマインドチェンジを図り、リーダーシップを発揮してこそ世の中を変えることができるのです。


こうした考え方を前提した上で、企業には今後どのような取り組みが求められるのでしょうか。GHGについて、これまでは省エネルギー法や温暖化対策推進法といった国内の法規制に準拠する形で自社分の排出量のみ管理が求められていました。しかし今後はそれだけでは済まされません。「国内外の市場ニーズおよび法対応のため、サプライチェーン全体を含めた管理が必要となります」と、寺﨑氏は強調します。


算定しなければならないGHG排出量の範囲が、Scope1(事業者自らによる直接排出)からScope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用による間接排出)、Scope3(事業者の活動に関連する他社の排出)へと拡大していくのです。そこで重要となるのが、サプライチェーン全体でのGHG削減に求められるGX(グリーントランスフォーメーション)マネジメントです。GX とは、カーボンニュートラルの実現に向けた産業や社会の変革を意味します。


企業におけるGXの実現には、経営と両立した適切なGXマネジメントサイクルの構築が必要となります。


企業経営とカーボンニュートラルを両立させるGXマネジメントのあるべき姿へ


実際にカーボンニュートラル実現に向けて、グローバルの市場環境は大きく変化しています。2015年パリ協定採択以後、世界各国でカーボンニュートラルを目指した動きが加速しており、これを受けて日本も2050年のカーボンニュートラル達成を宣言しました。


また2022年4月より東証市場区分が見直されましたが、プライム市場への上場企業についてはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った形での気候変動関連リスクおよび機会の開示のほか、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)調査対応が実質的に義務化されました。


一方でエネルギー市場の変化に目を向けてみると、ウクライナの情勢や円安などの影響により、今後も石油や液化天然ガス(LNG)といった燃料価格はさらに上昇すると予測されています。


加えて再エネ賦課金やカーボンプランシングの負担増による影響も懸念され、「各企業は電力価格上昇リスクも考慮して、GXを推進していく必要があります」と寺﨑氏は説きます。


エネルギー需要家である企業は、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、サプライチェーン全体でのGX推進とともに、再エネ電源の確保、経営インパクトへの対策を両立した経営を意識することが必要です。


寺﨑氏は、GX推進にあたりエネルギーの需要家である企業に求められる対応として、「ステークホルダーへの情報開示・投資家説明」、「カーボンニュートラル方針に基づく温対法・省エネ法改正への対応およびカーボンプライシング対応」、「2050年にカーボンニュートラル実現に向けたロードマップ策定」、「今後の再生可能エネルギー需給の逼迫による環境価値価格の高騰リスク(調達リスク)対策」の4点を示します。


さらに今後のGXマネジメントに向けては、従来からの省エネ対策だけではなく再生可能エネルギー電源への転換、クレジット調達など、さまざまなアプローチをGHG排出削減効果に基づき判断することが求められます。


こうしたことを踏まえつつ寺﨑氏は、「既存ビジネスにおけるコスト増加などのリスクに対応するためにも、企業経営とカーボンニュートラルの実現の両立が可能となるGXマネジメントサイクルを構築することが重要」と訴えました。GXマネジメントサイクルでは、まず企業全体のGHG排出量を把握し、排出削減に向けたロードマップを策定します。


これに基づき優先すべき施策から削減を実施し、排出量をモニタリング・評価します。さらに、この評価結果や外部環境の変化に応じてロードマップを見直します。脱炭素の実現には、このようなサイクルをまわすことが不可欠です。








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